カウンセリングとスキーには、おもしろい共通点がある、と私は思っています。
下手なカウンセラーと下手なスキーヤーは、「相手」を一生懸命動かそうとするのが特徴的です。
ここで、「相手」とは、カウンセラーにとっては、クライアントのこと、スキーヤーにとっては、スキーの板のことです。
クライアントをなんとか動かそう、変えよう、とクライアントを振り回すカウンセラー。スキー板をなんとか回そう、方向を変えよう、とスキー板を振り回すスキーヤー。
クライアントもスキー板も、動かそうとこちらがあがけばあがくほど動いてはくれません。
スキーの初中級者が小回りをしようとして、一生懸命スキーを自分の力で左右に振り回している光景をよく見かけます。しかしながら、人が自分の力でスキー板を動かしてもスキー板は小気味よく弧を描いて動いてはくれません。
スキーの上級者は、決して自分の力でスキー板を左右に振るようなことはしません。むしろ、なるべく振らないようにしてしっかりスキー板を踏んで、雪面に押し付けていきます。スキー板は人の力で「回す」ものではなく、スキー板自身が「回る」ように働きかけるイメージです。
上手なカウンセラーも同様に、クライアントを「変えよう」とするかわりに、クライアントが「変わる」ように、自分自身の対応を変えて、クライアントに関わっています。